楽待新聞で、弁護士の辻田寛人さんによる「4回の漏水で1400万円賠償請求、最高裁が『管理組合の責任』と初判断した意義」という記事を読みました。
マンションの共用部分からの漏水をめぐり、管理組合に損害賠償を請求できるかが争われた事例です。
記事には、漏水による資産価値の低下も取り上げられていました。私も、漏水が物件の価値に影響することはあると思います。
ただ、私が一番気になったのは、被害を受けた方が、1年以上にわたって漏水に悩まされていたということでした。
家族と暮らす家だったら、と考える
今回の事例では、2013年10月から2015年3月までの約1年5カ月の間に、4回の漏水が起きています。
安心して暮らせるはずの家で、天井から水が漏れてくる。それが一度で終わらず、補修をしても繰り返される。
もし自分や家族が暮らしている家だったら、と考えると、ぞっとします。
雨が降るたびに、また漏れるのではないかと気になるかもしれません。外出している間も、家の中がどうなっているか心配になるかもしれません。
自分の暮らしに置き換えて考えると、修理代だけでは測れない負担を感じます。
なお、2026年1月22日の最高裁判決は、管理組合が特段の事情のない限り、共用部分について民法717条の「占有者」に当たると判断したものです。損害額などをさらに審理するため高裁へ差し戻しており、1400万円の賠償が確定したという話ではありません。
誰が責任を負うのかを明らかにすることは大切です。その一方で、解決を待つ間も、被害を受けた方の生活は続いています。
当社の保有物件でも、漏水があった
当社が保有している物件でも、漏水が起きたことがあります。
原因は、外壁のクラック、つまりひび割れでした。1階が店舗だったため、そこで営業されている賃借人の方にご迷惑をおかけしました。
補修は、できる限り早く手配しました。ただ、手配したからといって、その場ですぐに漏水が止まるわけではありません。
当社の担当者は毎日現地へ通い、タオルやペットシーツを持っていきました。
店舗の定休日にも鍵をお預かりし、ペットシーツを交換しに行っていました。
お店が休みの日にも、漏水への対応は必要です。補修を進めながら、その間に生じている負担にも対応していく。私は、そこが大切だと思っています。

補修を進めながら、目の前の困り事に向き合う
当社の物件は、結果として2回の補修で漏水が解消しました。
この経験もあるので、今回の記事を読んで、補修の進め方はどうだったのだろうかと気になりました。
もちろん、記事を読んだだけで、補修方法が間違っていたと判断することはできません。当社の事例も、2回かかったという回数だけで、最初の補修の適否を語れるものではありません。
私が大切だと考えるのは、原因をどう調べ、何を直し、その後に漏水が止まったかをどう確かめるかです。
そして、それと並行して、賃借人の方に真摯に対応することです。
工事を手配した側には、段取りが進んでいるという認識があります。しかし、漏水に困っている側は、その間も片付けや水への対応をしなければなりません。
タオルやペットシーツを届けることは、漏水の原因そのものを直す作業ではありません。それでも、その日に困っている方の負担を少しでも減らすために、できることがあります。
補修を急ぐことと、解決するまで相手の困り事に向き合うこと。その両方を続ける必要があると思います。

最後にいただいた、お礼の言葉
漏水が解消した後、店舗の方は、当社の担当者にお礼を言ってくださいました。
もともとは、当社の保有物件で起きた不具合です。お礼をいただいたからといって、ご迷惑をおかけしたことがなくなるわけではありません。
それでも、毎日足を運び、定休日にも対応を続けた担当者の姿勢が、相手に伝わったのではないかと思っています。
問題が起きたとき、相手が困っている状況にどこまで向き合うか。言葉だけでなく、実際に動き続けることの大切さを感じた出来事でした。
現時点の結論
漏水による損害や精神的な苦痛を考えると、最終的には金銭で補償し、区切りをつけるしかない部分もあるのかもしれません。
ただ、お金で補償されたとしても、悩まされた時間や、その間の安心が、そのまま戻ってくるわけではないと思います。
だからこそ、解決するまでの一日一日の対応が大切です。
原因を調べ、できる限り早く補修を進める。同時に、そこで暮らす方、営業する方の負担に目を向け、今できることを続けていく。
今回の記事を読み、当社の経験も振り返って、私は改めてそう感じました。
不具合が起きたときに、賃借人の方に真摯に向き合う。その姿勢を、これからも大切にしていきたいと思います。




