仕事柄、建設や解体の現場で外国人の方が働いている姿を目にする機会が多くあります。
一方で、建物の解体に伴って近隣の皆様へご挨拶に伺うような場面では、外国人に対する抵抗感が、まだ残っていると感じることもあります。
これは当社で外国人スタッフによる問題が起きたという話ではありません。具体的な行動を見る前に、外国人が現場にいるというだけで、不信感につながってしまうことがあるのではないか、という私の実感です。
そうしたことを考えていたところ、健美家で外国人入居者を受け入れている大家さんの事例を紹介した記事を読みました。
そこで取り上げられていたのが、LIFULL HOME’S総研の「在留外国人の居住実態と日本人の意識に関する調査」です。
現場と住まいでは場面が異なりますが、相手をどう理解し、受け入れる側が何を準備するかという点で、考えさせられる内容でした。
実際に受け入れた人の声から見えること
健美家の記事では、外国人入居者が、築年数の古い住宅や大家さん自身が修繕した部屋を受け入れている事例が紹介されています。
記事を読んで感じたのは、私たちが考える住宅の価値と、実際に住む人が求めている価値は、必ずしも一致しないということです。
新しさや仕上がりの美しさを重視する人もいれば、家賃や立地、必要な部屋数を優先する人もいる。その違いによって、これまで選ばれにくかった住宅にも可能性が生まれます。
ただし、ここで紹介されているのは、個々の大家さんが経験した事例です。
「外国人は古い部屋でも気にしない」「外国人なら滞納が少ない」と、ひとくくりにすることはできません。記事の中でも、保証会社の利用や集金方法など、経営上の工夫が紹介されています。
私が注目したいのは、国籍による性格の違いではなく、相手の事情や希望を知ることで、住宅の見え方が変わるという点です。
私たちが求める「当たり前」は、必要なものか
日本の住宅は、入居者に選んでもらうために、設備や内装を整え、競合物件との差をつけようとします。
その競争が品質を高めてきた面はあるでしょう。一方で、競合するからこそ、必要以上のところまで求めるようになっている部分もあるのかもしれません。
もちろん、安全性や衛生面、必要な設備の機能は、きちんと確保すべきです。
そのうえで、見た目をどこまで新しくするのか、設備をどこまで追加するのか。その費用が家賃にも関わるのであれば、住む人にとって本当に必要なものを考える余地があります。
これは外国人向けの住宅だけの話ではありません。
私たちが提供したいものと、住む人が求めているもの。その間にずれがないかを確かめることは、住宅をつくる側にとっても大切だと思います。

文化が違うからこそ、具体的に伝える
住まいの話を現場に重ねると、私が大切だと思うのは、外国人スタッフに日本の作業ルールや近隣への配慮をきちんと伝えることです。
日本人同士でも、説明が足りなければ認識の違いは起こります。言葉や生活習慣が異なれば、なおさら「分かっているはず」で済ませることはできません。
例えば、作業時間、騒音や粉じんへの配慮、車両の止め方、近隣の方から声をかけられたときの対応などです。
「周囲に迷惑をかけないように」と伝えるだけでは、人によって受け止め方が違います。どのような行動が必要で、何を避けるべきなのかを、具体的に説明する必要があります。
また、説明したことと、相手が理解したことも同じではありません。
伝わっているかを確認し、分からないときに相談できる相手を明確にする。受け入れる側には、そこまで含めた準備が求められると思います。

不安を減らすには、受け入れる側の体制も必要
LIFULL HOME’S総研のレポートでは、外国人の居住実態や日本人の意識に加えて、不動産事業者による取り組みも紹介されています。
そこでは、言語の問題や生活ルールを伝えること、入居後の対応などが論点になっています。
私は、この点は建設や解体の現場にも通じると感じます。
近隣の方に安心していただくためには、そこで働く人への教育だけでなく、責任を持つ会社が、何かあったときに対応できる体制を整えることも大切です。
「誰が働いているのか」に加えて、「どのようなルールで仕事をし、誰が責任を持って対応するのか」が見えること。その積み重ねが、不安を減らすことにつながるのではないでしょうか。
外国人だから大丈夫、あるいは外国人だから心配。そのどちらも、実際の人や仕事を十分に見ているとはいえません。
一人ひとりの行動と、それを支える会社の姿勢を見て判断できることが望ましいと思います。
現時点の結論
健美家の記事を読んで、住宅の価値も、人に対する評価も、私たちの「当たり前」だけでは測れないと感じました。
住む人の希望を知れば、築古住宅にも新しい可能性が見えてくる。働く人に必要なルールを伝え、理解を確認すれば、安心して仕事ができる環境づくりにつながる。
ただ、外国人がいるというだけで生まれる不信感が、すぐになくなるとは思いません。
だからこそ、受け入れる側が説明や教育の責任を果たし、日々の行動で信頼を積み重ねていくことが大切なのだと思います。
国籍だけで判断せず、その人の行動を見る。そして、その人が適切に働き、暮らせるように、受け入れる側も準備をする。
私は、その両方が必要だと考えています。
参考資料
- 健美家「外国人は借りた部屋に『完璧』を求めない、築古や残置物も気にしない、害虫も自分で駆除…。外国人入居の意外なメリット」(2026年10月19日掲載)
- LIFULL HOME’S総研「在留外国人の居住実態と日本人の意識に関する調査 ― 右傾化する日本で寛容を問い直す」(2026年9月29日公表)




