ビジネスと不動産経済を本気で考えるブログ

【ライザップ】赤字からの立ち上がりを学ぶ

ライザップといえば、「結果にコミット」で有名な会社ですね。

f:id:lidix:20191210213324j:plain

2019年3月期の決算では、当初の230億円の黒字予想から大幅に下ブレして、93億の赤字に転落しました。

しかし、今期の中間決算では27億の営業黒字を発表。

f:id:lidix:20191210201335j:plain

色々調べると、ライザップは積極的なM&Aで急成長した会社なんですね。

ライザップグループの会社数は、2015年の15社から18年には85社まで増えています。

すごい数です。。

そして、ライザップの決算時に話題となった‘’負ののれん‘’についても調べてみました。

【のれん】

・企業買収時の価格と純資産の差を言います。純資産よりも高い価格で買収すると発生する。逆に純資産よりも安く買収した場合は「負ののれん」がうまれ、営業利益に加算される。

 

また、ライザップは国際財務報告基準(IFRS)を適用していて、日本の会計基準にある‘’特別損益‘’という区分がないため、臨時的に生じた利益や損失も営業利益を加減算してしまいます。

一見、純資産よりも安く企業を買収できれば、なんとなくお得感があるように見えますが、よく考えると、100万円のロレックス(不動産屋っぽい時計ですみません。)を50万円で売られていれば、通常であれば「えっ?」「なんで?」って思うのが普通です。故障しているのか、傷がついているとかなんらかの不具合があるから安いって想定するのが普通ですが、当時のライザップの買収時の条件が、純資産よりも買収金額が低い企業であるため、‘’負ののれん‘’を営業利益として計上し続け、IFRS基準にのっとってあたかも本業が儲かっているとの見方ができる決算だったみたいです。

純資産よりも買収金額が低い会社は、先ほどの時計の話と一緒で、何か不具合のある会社、もしくは今後も赤字を垂れ流す会社と想定できます。

そういう会社をひたすらM&Aをして‘’負ののれん‘’(営業利益)を計上し続けていたようです。

 

そして、この状況を打破するために呼ばれたのが、『プロ経営者』と言われた松本晃氏ですね。

 

松本晃氏・・・ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の社長在任9年の間に年間売上を4倍に伸ばし大幅な黒字を達成、続くカルビーでは8期連続で増収増益を続けるなど、「カリスマ経営者」と言われていました。

 

そんな松本氏が提案したのは、全てのM&Aを凍結し、再建するというものです。

 

その時の様子を想像するに、他の役員から相当な反対やプレッシャーなどがあったと思いますが、それらをちゃんと押さえ込んで遂行するあたりは、ライザップの瀬戸社長もやはり只者ではないですね。

そして、グループ全体で1200店舗を精査し、継続・撤退・売却を進めたようです。

その後残念ながら松本氏はライザップを離れますが、今回の立役者なのは間違いないですね。

ライザップの今後の動きが楽しみですね。いちファンとして、決算も楽しみしています。

 

今回のライザップのことを調べて思ったのは、経営者になると間違った道に進んでしまっても誰も何も言ってくれない恐怖です。そして、撤退や変化することに対しては勇気を持って進むことが重要で、他の人の意見もちゃんと聞く耳も持たなくてはと改めて思いました。

 

 

 

著者プロフィール

Lidix

ライディックス株式会社 代表 山上 晶則

東京都で不動産会社を経営しています。
将来的に不動産経済がどうなるかは、あくまでも二次的な要因が大きいため、「国内外の政治経済や金融」、「異業種で成功している事例」などを分析することを得意としています。

このブログでは、現在の経済状況を自分なりに読み解き、時代に合った経営や様々な投資、そして、「何かに依存しない生き方」を求めて日々勉強している内容をアウトプットするために書いています。



SNSで最新情報を配信しています

関連記事

  • コロワイドVS大戸屋の買収戦争を解説します。

    コロワイドVS大戸屋の買収戦争を解説します。
    2020年6月29日

  • ‘’いきなり!ステーキ‘’の広告効果はどちらに傾くのか

    ‘’いきなり!ステーキ‘’の広告効果はどちらに傾くのか
    2019年12月16日

  • ラーメン屋さん“一蘭”から学ぶこと

    ラーメン屋さん“一蘭”から学ぶこと
    2019年12月8日

  • 【雑学】クリスマスにフライドチキンが日本の伝統になったのはなぜ・・・?

    【雑学】クリスマスにフライドチキンが日本の伝統になったのはなぜ・・・?
    2019年12月26日

  • Lidix Online

    ライディックス株式会社のオウンドメディアです。ライディックス株式会社は、東京都練馬区より投資用アパート、戸建住宅を提供している会社です。

    Lidix Onlineは主にライディックス株式会社の代表 山上が考えるビジネス・マーケティングの視点から不動産を取り巻く環境について、情報発信を行っています。

    私達の事業分野である不動産は、あくまで社会経済の一部です。より堅実な投資とは何かを考察するため、日々マクロな視点とミクロな視点で社会情勢を追いかけています。


  • 新着記事

    • 住宅ローンの行方 2023年12月5日

    • 【書評】非常識な成功法則 ~神田昌典 著~ 2021年9月30日

    • これはリーマンショックの再来なのか⁉【中国恒大集団についての解説】 2021年9月24日

    • 予想通りビットコイン上がっているので簡単に解説します! 2021年2月14日

    • コロナ禍の中、ケンタッキー“カーネル・サンダース”の不屈の闘志から学ぶ 2021年2月3日

    アクセスランキング

    • なぜ飲食店が休業要請で危険な状況になるかを会計の視点からお答えします。

      なぜ飲食店が休業要請で危険な状況になるかを会計の視点からお答えします。 2020年7月6日

    • 今さら聞けない日本のバブル経済とバブル崩壊 2020年11月12日

    • メールやLINEの「返信」が遅い人は仕事ができない説

      メールやLINEの「返信」が遅い人は仕事ができない説 2020年7月9日

    • やはり、優秀な経営者がいる会社には投資するべきなのでしょう。

      やはり、優秀な経営者がいる会社には投資するべきなのでしょう。 2020年7月20日

    • 自己紹介です! 2020年11月5日