最近、同業社以外でも相談される機会が増えました。
相談内容で一番多いのが「なぜ今までと同じ方法なのにうまくいかないのだろう・・・」です。
世界は進化し、状況が変わり新たな基準が生まれます。人はそれに適応せず、これまで通りの思考や行動パターンにしがみついてしまいます。最悪な状況になるまで、新たな状況という現実に気づきもしない人が大半かもしれません。
そんな時のアドバイスは『アンラーンした方がいいかもしれないよ』と答えています。
アンラーン(unlearn)=脱学習と書きます。
私自身も数年前から、自社の事業に関して将来的な疑問をもっていたところ出会った本に書かれていたことです。
アンラーン戦略
アンラーン戦略とは
アンラーン戦略とは、これまでの成功体験や習慣を手放し、新しい行動に改める学習方法です。
アンラーン(unlearn)は「脱学習」を意味し、思考の癖を取り除くことで新しいことを取り入れやすくなります。
要点としては
- 過去の成功体験や習慣を手放す
- 時代遅れになった情報や行動を意識的に棄却する
- 効果のある意思決定や行動をするための新しい情報を取り入れる
- 停滞することなく進化し続けるために、アンラーンのサイクルを回す
私自身も含め、ある思考や行動がいったんは成功をもたらしてくれます。しかしながら、同じ方法が将来も成功をもたらし続けることはほぼありえません。
これを解決する鍵としては、その兆候を認識し、手遅れになる前に突破することです。一度は成功をもたした戦略が破滅の原因にもなってしまいます。
過去にとらわれず、修正して、適応していく必要があるのでしょう。
テニスのセリーナ・ウィリアムズもアンラーン戦略でランキング1位に返り咲いた
かつて世界ランキング1位だったセレナは年齢も31歳になり勝てなくなってきました。
そして全仏オープンでも世界ランク111位の選手に負けたセレナは、ニューヨーク・タイムズにして「近年の全仏史上もっとも予想のつかない衝撃的な番狂わせのひとつ……」と記されるほどでした。
セリーナの脳裏では疑念が渦巻き、それがパフォーマンスにも影響しました。これまでやってきたことはすべて実践している。より長くハードなトレーニングをこなし、準備は完璧だった。それなのに、これまで成功をもたらしてくれた何もかもが役に立たず、勝つことができない。
- どうして実証済みの方法に効果がないのか?
- どうして勝てないのか?
- もうトップの時期は終わったのか?
誰の人生にも必ずこうした時期がやってきます。私にも現状同じような状況を感じることが多々あります。
これまで成功をもたらしてきたことを実践しても、もはや同じ結果が出ない。いつものように、朝起きて、会社に行き、机に向かう。だが、突然行き詰まり、停滞し、不満を感じ、かつては成功の秘訣だったことで苦労するようになる。
ちなみにその後セリーナは、当時無名なコーチだったパトリック・ムラトグルーに出会い、今までのやり方をアンラーン(unlearn)=脱学習するプロレスに着手しコート上でのパフォーマンスの飛躍的進歩へとつながる新しいテクニックや戦略を学び直しました。
そして、全仏オープンで負けて、新しいコーチであるムラトグルーとタッグを組んでからは、参戦したグランドスラム22回のうち14回ファイナルまで進出し、うち10回も優勝しています。
セリーナ・ウィリアムズのような偉業を達成することは難しいかもしれませんが、リーダー、経営幹部、チーム、企業も、セリーナと同じように、過去には成功をもたらしたことを行っても、もう成果が出ないという状況に直面します。
成功するには、アンラーン=脱学習し、新たな方法を再学習し、ブレイクスルーしなければならないということですね。
哲学者のエリック・ホッファーは言っています。
『急激に変化する世界では、学習する者が世界の後継者となる。一方、すでに学習をやめてしまった者は、自分の力を発揮する世界がもはや存在しないことに気づくだろう』
「失敗」とは、結局何もしないこと、行動を起こさないこと。「何かをする」と、何か新しい、もしかすると驚くような方法や情報にたどり着くかもしれません。
私も過去の成功にとらわれず、常にアンラーン=脱学習することを念頭に置いて生きていく必要があると考える今日この頃です。