楽待新聞で、せらっきょさんの「あなたに回ってくる未公開物件はせいぜい『中の上』、不動産芸人が明かす物件情報のリアル」という記事を読みました。
不動産会社と親しくなれば、条件のよい物件を優先的に紹介してもらえるのか。物件を探している方にとって、気になる話だと思います。
記事では、買取再販会社との継続的な取引や、再販売時の仲介につながることなどを背景に、割安な物件情報が一般の投資家に届きにくいという筆者の見方が紹介されています。
踏み込んだ内容ですが、私にも共感するところがありました。
特に、不動産会社に好かれようと気を遣いすぎるより、日々物件を探し、気になるものがあればすぐに問い合わせる。その行動に時間を使った方がよい、という考えには同感です。
一方で、物件を購入できる理由や、不動産会社との関係については、私なりに付け加えたいこともあります。
好かれることに、気を遣いすぎなくてよい
不動産会社と良好な関係を築くことは大切だと思います。
ただ、「好かれていなければ、よい物件を紹介してもらえない」と考えてしまうと、物件を探すこと以上に、担当者の機嫌が気になってしまいます。
手土産を持っていくべきか。断ったら、次から紹介してもらえなくなるのではないか。
私は、そこまで気を遣う必要はないと思っています。
その時間を、ポータルサイトで物件を見たり、気になる物件について問い合わせたりすることに使う方が、購入に向けた具体的な一歩になります。
紹介された物件が自分に合わなければ、見送ることも必要です。そのときに、価格なのか、場所なのか、購入時期なのか、合わなかった理由を伝えれば、次のやり取りにもつながります。
無理に相手に合わせるより、自分が何を探しているのかを伝える。私は、そうした関係の方が、お互いに仕事を進めやすいと思います。
割安な物件は、条件が整っているとは限らない
もう一つ、元記事を読んで考えたのは、割安な価格の背景です。
割安な物件と聞くと、条件の整った不動産を、相場より安く買える姿を想像するかもしれません。
ただ、実際には、最初からすべてが整っている物件ばかりではありません。
ここでいう「整っている」とは、建物の見た目の話ではなく、権利関係や必要な承諾、引き渡しの条件などについてです。
例えば、購入後に私道の所有者と交渉する必要がある物件。掘削承諾書の取得が残っている物件。売主が早急な引き渡しを希望している物件もあります。
買う側は、そうした課題や条件も含めて引き受けています。
私道の所有者との交渉も、承諾書の取得も、相手のある話です。希望どおりに進むと決まっているわけではありません。
時間がかかるかもしれませんし、想定していた条件ではまとまらないかもしれません。
そのため、条件が整った物件と、購入後に交渉が残る物件を、価格だけで比較することはできないと思います。
安く買えたという結果の手前には、買う側が引き受けた仕事や不確実さもあります。

同じ情報が届いても、判断の速さが違う
情報が届く順番だけでは説明できないのが、購入するかどうかを判断する速さです。
私たちの場合、融資が通ることを購入の条件にはしていません。また、早ければ現場を見て、その場で購入の意思を伝えることも多くあります。
その場ですべての契約手続きを終えるという意味ではありません。購入するかどうかの意思を、早い段階で相手に伝えるということです。
一般の方が、現地を確認し、融資の相談をし、購入するかどうかを検討している間に、私たちは購入の意思と条件を伝えている場合があります。
同時に情報を受け取ったとしても、その速さに合わせるのは難しいと思います。
売主が早い引き渡しを希望していれば、日程に応じられるかも大切です。価格に加えて、どのような条件で、いつ取引を進められるのかが判断材料になります。
もちろん、一般の方にも、同じ条件で急いで買うことを勧めたいわけではありません。
気になる物件にすぐ問い合わせることと、必要な確認を終えないまま購入を決めることは違います。
まず早く動いて情報を確かめ、そのうえで自分が引き受けられる条件かを判断する。その順番が大切だと思います。

関係の価値は、購入する回数だけでは決まらない
元記事では、買取再販会社は購入の頻度が高く、継続的な取引につながるため、一般の投資家よりも強い関係を築きやすいという説明もされています。
継続して物件を購入してくれる相手が、事業上大切な存在になることは理解できます。
ただ、私は、購入する回数だけで関係の価値が決まるとも思っていません。
当社でも、先日購入してくださったお客様から別のお客様をご紹介いただき、成約につながったことがありました。
その方自身が短い間隔で何度も不動産を購入するわけではなくても、ご紹介を通じて、次の仕事につながる関係はあります。
一度の取引で終わらず、その先でもつながりが続いていく。そうしたお付き合いも、会社にとって大切です。
だからこそ、「一般のお客様は購入頻度で業者に勝てないから、関係を深めても意味が薄い」とまでは、一概に言えないと思います。
お互いにとって意味のある関係には、いろいろな形があります。
もちろん、紹介してくださったから必ず割安な物件を案内できる、という話ではありません。また、物件を紹介してもらうために、別のお客様を連れてくる必要があるということでもありません。
私が言いたいのは、関係の深さは、単に親しいかどうかや、何回購入したかだけでは測れないということです。

無理に好かれようとすることと、信頼を築くこと
ここは、分けて考えたいところです。
よい物件を紹介してもらうために、必要以上に相手の顔色をうかがう。その必要はないと思います。
一方で、取引を通じて信頼が生まれ、その後もお付き合いが続くことには意味があります。
当社でご紹介が成約につながったことも、私にとっては、その関係の大切さを感じる出来事でした。
こうした関係は、手土産の有無だけでつくれるものではないと思います。
まずは、目の前の物件について、希望や条件を率直に伝える。合わなければ、その理由も伝える。
そうしたやり取りを重ねながら、お互いを理解していくことが大切ではないでしょうか。
現時点の結論
今回の記事で私が特に共感したのは、不動産会社に好かれるために気を遣いすぎるより、物件を探し、気になるものがあれば問い合わせることに時間を使った方がよい、という点です。
ただ、情報が届けば、誰もが同じように買えるわけではありません。
購入後に残る交渉や承諾の取得、融資を購入条件にするかどうか、引き渡しまでの日程。そして、購入の意思を伝える速さ。
そうした違いも、取引の進み方に関係しています。
また、不動産会社との関係も、購入頻度だけで決まるものではありません。お客様の紹介から次の成約につながるように、一度の取引から深まっていくお付き合いもあります。
私は、物件を探す方には、担当者に無理に合わせることより、自分の希望や判断基準を持ち、具体的に動くことを大切にしてほしいと思います。
そのうえで、率直に話ができ、取引の後も付き合いが続く相手に出会えることには価値があります。
物件そのものの条件を確かめることと、信頼できる相手との関係を育てること。その両方を大切にしたいと思っています。




