「1100万円を支払ってください。」
こんな通知が、物件を買ってから1年後に突然届く。
しかも「自分はちゃんと買っただけ」「仲介も入っている」「説明もなかった」。それでも、結論として買主が払うしかない——。
今回の楽待さんからの記事は、不動産投資家にとって現実的すぎる“最悪のシナリオ”でした。
僕自身、不動産業をやっている立場としても、これは他人事じゃありません。
そこで、分かりやすく解説していきます。
何が起きたのか(ざっくり結論)
ポイントは1つです。
売主が「非居住者」だと、買主に“源泉徴収して納付する義務”が発生する
→ なのに源泉徴収せず満額決済してしまう
→ 後日、税務署から「未納です」と買主に請求
→ 売主は海外で回収困難
→ 買主が延滞税込みで支払う
これ、心理的には「売主が払うべき税金を、なぜ買主が?」なんですが、制度としては“買主の義務”として設計されているのが怖いところです。
なぜこういう制度になっているのか
理由はシンプルで、国側のリスク管理です。
非居住者が売却益にかかる税金を払わずに海外へ行ってしまったら、追いかけて回収するのが難しい。
だから最初から、取引の入り口(決済時)で税金を差し引いて確保する仕組みにしている。

結果として、買主は「預かり金」みたいな感覚ではなく、“自分が納める義務”を背負う形になります。
どこが落とし穴なのか
楽待さんの記事の怖さはここです。(売主は中国人で、セカンドハウスとして物件を使用していたらしい。売主側と買主側、2社の仲介会社が媒介したようです。)
【購入物件は2022年に投資用として約1億円で購入した23区内のタワーマンション】
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売主側仲介が「居住者だと思う」と口頭で言った
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重要事項説明で特に触れられなかった
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書面の証拠も残っていない
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1年後に突然発覚
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弁護士に相談しても「勝てない」
つまり、現場で起こりがちな「まあ大丈夫でしょう」が、そのまま1100万円になって返ってくる。
特に、価格が上がった今の都内だと、投資用・高額帯は当たりやすい。
“知ってる人だけ回避できる地雷”になっているのが厄介です。
私ならこうする:取引前にやることチェックリスト
「非居住者かどうかの判定」は税法上ややこしいので、現場の実務では“疑わしきは潰す”のが一番安全です。
1)売主の居住性を「口頭」で終わらせない
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「居住者です」と言うなら、根拠が分かる材料を揃える
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口頭だけは絶対ダメ。後で何の武器にもならない
2)決済前に“源泉徴収の要否”を税理士に一度通す
この手の論点は、仲介の守備範囲外になりやすい。(税務上のプロではないから)
だからこそ、買主側で税理士レビューをルール化した方がいいかもしれません。
3)契約書に“守りの条項”を入れる(ただし過信しない)
記事にもあったように、
「売主は非居住者ではない/源泉徴収義務はない」趣旨の特約は、抑止力にはなります。
ただ、現実には国が非居住者認定したら、特約があっても納税義務は消えない。
なので、条項は“保険”であって“無敵の盾”ではありません。
(個人的には、居住実態を具体的事実で書けるならその方が後々の請求には使いやすいと思います)
4)最悪シナリオの資金繰りまで先に想定する
もし源泉徴収が必要なら、決済の資金計画自体が変わります。
「フルローンでいけた」つもりが、別で1000万円級の現金が必要になり得る。
一番怖いのは「知らなかった」で終わること
僕がこの記事を読んで一番引っかかったのは、制度の是非というより、
“説明されなかったから自分は無関係”が通らない
という現実です。
不満が出るのも当然。でも、いまのルールがそうなっている以上、買主側が守りを固めるしかありません。
そしてこれは、投資家だけじゃなく、仲介や買取再販、デベロッパーの仕入れでも普通に起こり得ます。
まとめ
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売主が非居住者だと、買主に源泉徴収・納付義務が出る
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満額決済すると、後から買主に請求が来て詰む
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口頭確認は無力。税理士レビューと事前チェックを仕組みにする
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特約は一定の抑止力になるが、過信は禁物
是非チェックリストに盛り込んでください。




