従業員は今を生きて、経営者は未来に生きる
― 視点のズレこそが、会社を前に進める ―
最近、いろいろな経営者仲間と話す機会があって、その中でいつも私の意見として言うのが、
「従業員は今を生きて、経営者は未来に生きる」
という言葉です。今回はその件に関しブログを書こうと思います。
■ 従業員が見ている世界は“今”
従業員の仕事の中心は、どうしても“今”になります。
・今日のアポイント
・今月の売上
・目の前の業務
・やるべきタスクを落とさずに回すこと
これは全然悪いことではなくて、むしろ会社を動かすうえでは欠かせない役割です。
現場が安定して回っているからこそ、経営者は未来を考えられる。
そして従業員は、安定や確実性を求めるのが自然です。
「言われた仕事をミスなくこなす」
「決められた範囲で成果を出す」
この評価軸で動く以上、どうしても“今”にフォーカスするのが普通なんですよね。
■ 経営者が生きているのは“未来”
一方で、経営者の頭の中は、常に半年後・来期・3年後のことばかり。
・今は赤字でも未来の成長につながる投資
・このままでは半年後に詰む
・市場環境が変わる前に準備しないと
・3年後の事業構造をどう作るか
極端に言えば、今日どうなっているかより、半年後にどうなっているかのほうが重要
という判断をする場面も多いです。
だからこそ、従業員からすると、
「なんでこんなに急に変えるの?」
「今のままじゃだめですか?」
と感じることもあると思うんですが、
経営者側は経営者側で、
「今変えないと後でもっと痛い目を見る…」
という未来を見て動いているんです。
■ 役割が違うから、話が噛み合わないのは当然
これは誰が悪いとかではなく、役割に応じて“見ている時間軸が違う”だけです。
従業員は現在を守る。
経営者は未来を創る。
ここが理解できていないと、社内でちょっとしたストレスや摩擦が生まれてしまう。
でも、逆にいうと、ここを理解した瞬間に組織は一気に強くなる。
それくらい時間軸の違いは大きいです。
■ 経営者が“今だけ”を見るようになった瞬間、会社は鈍る
これは本当に危ないサインです。
・未来の投資をしない
・人材採用が止まる
• 新しいことに挑戦しなくなる
・固定費ばかり気にする
・現状維持が当たり前になる
こうなると、目の前の数字は良くても、会社の寿命は確実に縮まります。
中小企業こそ「未来を見て先に動く」ことが生命線です。
経営者が未来を見続けなければ、誰も見ません。
■ 従業員が“未来”を理解した瞬間、最強の組織になる
これは僕自身、実際に経験したことですが、
社員が「なぜ今それをやるのか」を理解し始めると、
会社は一気に動きが良くなります。
・社内のスピードが上がる
・判断が早くなる
・経営者の意図を汲んだ提案が出てくる
こうなると、経営者としては本当に心強い。
未来を作る仲間が増える感覚になります。
■ 経営者ができることは「未来を共有すること」
従業員が悪いわけでも、理解力が低いわけでもありません。
単純に、未来の情報が伝わっていないだけのことも多い。
だからこそ、経営者がやるべきは、
・未来のビジョンの共有
・半年後、1年後、3年後の話をする
・なぜこの判断をするのかを説明する
・“今”だけではなく“未来”で考える文化を作る
こういう習慣を作ることだと思っています。
■ まとめ:視点の違いは組織の強みになる
今日の話をまとめると、
従業員は今を回し、経営者は未来を創る。
この役割の違いを理解するだけで、社内コミュニケーションの質は一段階上がります。
そして、経営者が未来を語り続ける限り、会社は前に進み続ける。
視点のズレは“悪”ではなく、会社が成長するためのエンジンなんだと思います。




