はじめに
今までは経営する常套手段として有名な戦略が『選択と集中』でした。
しかし、時代の変化が早い現代では次から次へと新しい技術が産まれます。
そのため得意分野の事業のみを行っている場合、短期的に高収益を得る機会は高まりますが、長期的に継続することは難しい可能性が高いといえます。
そして現在は企業のコングロマリット化*が進行しています。
元々は財閥系が複数の事業をてがけることで繁栄をしたこのモデルは近年衰退していましたが、これから先、生き残るには本業を決めない経営なのかもしれません。
選択と集中とは
1900年代後半から2000年代にかけて注目される経営改革のキーワードです。
そして、「本業以外のビジネスに手を広げてきた企業が、本業に集中する」ことを指しており、多角化経営の対義といえる経営理念としています。
この言葉はもともと、ゼネラルエレクトリック社(GE)のCEOを務めたジャック・ウェルチが、現代経営学やマネジメントの発明者とも呼ばれる経営学者のピーター・F・ドラッカーの助言を受け、生まれたとされています。
このウェルチは世界市場で1位か2位を確保できる得意分野の事業のみを残し、それ以外の事業は黒字でも売却または廃止する「選択と集中」を実施し、GE社の売上と利益を6倍以上伸ばすことに成功しました。
日本では1990年代後半にウェルチの著書がベストセラーになり、経営改革のキーワードとして「選択と集中」という言葉が広がったと言われています。
最近の『選択と集中』での失敗例
カメラで有名なオリンパスがカメラ事業から撤退を表明しましたね。
カメラ事業に集中しているオリンパスとしては、当然、競合他社よりもさらなる性能の強化を考えていたことでしょう。
しかし、オリンパスの足元をすくったのは、まさかのスマホカメラでした。
今後、このような動きがこれからの未来では頻繁に起こることが予想されます。
本業を決めない企業例
代表的な例からいくとアドビですね。
一時期は倒産しかけたそうですが、2011年にサブスクを始めたことによって業績が回復。
2016年には自社開発で人工知能のテクノロジーを獲得し、それまでクリエイターの技量に頼っていた画像やイラストの加工作業を、人工知能が自動で行うサービスを提供することで、急激に業績を回復し、時価総額は20兆円まで成長しています。
2018年には、『アドビシステムズ』という社名から『アドビ』に社名変更しています。
この社名変更は、今後も様々なサービスを提供していくというメッセージではなのかもしれません。
最近のニュースでは、アマゾンやアップルが金融業界に参入したとの報道もありました。
そして、アップルの金融事業に関しては、あくまでもiPhoneユーザーを囲うためのものであり、かつ金融関連からのデータも収集できるため、より良いサービスを提供するための施策です。
今後の展開しだいでは、カード会社がGAFAに飲み込まれる可能性すらあります。
まとめ
時代は常に変化しています。
次から次へと新たなサービスや技術が登場します。
経営者としては、これらの流れをいち早くキャッチすることが重要で、何の業界であるかどうかは関係ないのかもしれません。
まして今はコロナの影響により、今までにない、もしくは少なかったサービスも脚光を浴びています。
本業を限定してしまい、その事業に固執している企業はオリンパスのように足元をすくわれる可能性があります。
これからの時代『依存しないで生き残る』術が必要になってきます。
そしてそのためには常に変化に対応できる準備をしておく必要がありますね。