ユニクロの夏用マスク『エアリズムマスク』が6月19日に発売された際、整理券を配布しても尚大行列ができたり、公式オンラインストアはアクセスが集中してつながりにくくなるなどして購入できにくい状況だったそうです。
そのような状況をみて、ユニクロの柳井会長は東京銀座の新店舗を訪れ「毎週50万点の入荷」を公言したといいます。
ただ、装着感においては賛否両論のようですね。
元々、この『エアリズム』という商品は夏用にユニクロが開発した“下着”のことで、速乾、及湿、接触冷感、抗菌防臭などの快適機能性インナーです。
そこで、『エアリズムマスク』のネーミングにおいて消費者は、
「夏のマスクの蒸れ感が嫌だ➡エアリズムのインナーは涼しい➡エアリズムマスクなら夏でも快適」
と連想されたのでしょう。
この連想は、行動心理学から言うと「プライミング効果」になるようです。
*プライミング効果・・・あらかじめ受けた刺激で、無意識のうちに次の行動に影響を与える効果のこと
ユニクロの4月決算会見にて、柳井会長は「マスクは作らない、服を作るのが本業だ」と言い切っていたのにもかかわらず、わずか2か月足らずで方向転換をしてマスクの販売まで行ったのは剛腕としか言いようがないですね。
ユニクロの『エアリズムマスク』の販売時期も実は計算されたものです。
ユニクロほどの力のある企業であれば、マスク不足が社会問題になっていた4月、5月でも販売をしようと思えばできたような気がしますが、あえてマスク不足が社会問題になっている時に販売をせず、外出規制が解除された6月19日に『エアリズムマスク』の販売をぶつけてきたところが柳井会長の経営手腕なのでしょうか。
6月19日の外出自粛の解禁日に『エアリズムマスク』を販売することにより、通常商品の販売につなげるということが狙いでしょうね。また、ユニクロオンラインショップでも販売したことにより、通常Amazonや楽天などで買い物をする層すらも取り込んだと言えます。
そしてオンラインショップでは、アクセスが集中してつながりにくくなるほどの会員登録があったようなので、そこから様々なデータも取ることができるので、今後の経営にも大きく活かせるでしょうね。
結果、コロナの影響で売上高は、4月マイナス56%、5月マイナス18%でしたが、6月は前年比プラス26%という結果になっています。
そして、ユニクロを運営している株式会社ファーストリテイリングに関しては、常に株式投資の“お気に入り銘柄”に入れてあります。
アメリカで有名なウォーレン・バフェット氏も「優秀な経営者がいる企業に投資することが重要である」と言っています。
今回のコロナショックで、多くの企業が経営危機に直面していますが、業績の回復に向けてしっかりと手を打てているかどうかは、その企業に優秀な経営者がいるかどうかが大事になってきます。
と、このブログを仕上げている時に、ユニクロの『通期業績予想を下方修正』という記事が出ました。(7月10日)
- ユニクロ・・・3~5月の売上高は前年同期比で39%減少 最終損益98億円の赤字
- ZARA・・・2~4月の売上高は前年比同期比で44%減少
- H&M・・・3~5月の売上高は前年同期比で50%減少
やはり、新型コロナの影響は各社にかなり響いているようです。
ここで、世界3社の地域別売上比率が下記の表になります。
表を見て分かる通り、ユニクロはアジア中心で他の2社は欧州中心です。
アジアより欧州においての新型コロナの影響は大きく、その影響が今後の業績に比例すると考ると、ユニクロの復活が一番早いのではいかと予想しています。
本日7月10日における『ファーストリテイリング』(ユニクロ)の株価は、下方修正の記事で下がっています。
しかし、時価総額では世界1位の“ZARA”にどんどん近づいています。
優秀な経営者である柳井氏がいるユニクロは長期保有銘柄として考えてもいいのではないでしょうか。