3月27日、衛星通信事業の米ワンウェブ(One Web)が破産法11条の申請を開始したと発表がありました。
どんな会社かというと、格安のミニ人工衛星の開発するベンチャー企業で、地球の周りに低軌道で数百飛ばしての通信サービスの構築を進めていました。
これからなるであろうIoTの時代に、砂漠から無人島まで繋がる高速のワイヤレスインターネットを提供すると期待されながら、創業わずか8年で姿を消すことになります。
この宇宙ビジネス。
実は、ビルゲイツも1994年に出資した会社で同じことをやっていました。
ただ、時代とともに、世界の通信インフラが急成長を遂げ、3G回線が普及して通信衛星の必要性がなくなり、プロジェクト自体が失敗に終わったようです。
その後、2012年にグレッグ・ワイラー氏がワンウェブを設立しました。
このワンウェブという会社の使命として掲げているのが、
『世界にはインターネットに接続できない40億人がいる。そこのう安くて高速なインフラを提供すること。』
としています。
そして、あらゆるモノがネットに接続するIoTの時代に、ビジネスチャンスを見出したようです。
沿革にも出ているとおり、2016年には、ソフトバンクグループの孫正義氏から10億ドルを調達し、ワンウェブの企業価値は25億ドル(約2750億円)と評価されます。
ここで、宇宙ベンチャーの先頭と見られていた“ワンウェブ”にライバルが登場します。
『スペースX』という会社で、そこを率いるのが“イーロン・マスク”です。
このスペースXという会社のメイン事業は、圧倒的なコストダウンによるロケットの打ち上げです。
驚異的なスピードとアイデアで宇宙ビジネスにおいて、成果を出した企業です。
そして、同社が次に目をつけたのが、ワンウェブと同じ通信衛星事業。
2015年には、ワンウェブを上回る4000機以上の小型衛星を投入して、通信衛星ネットワーク事業を開始すると宣言!
ここで、孫さんVSイーロンマスクの『開発戦争』が始まります。
結果からいうと、開発のスピードでは、圧倒的にイーロン・マスク率いる“スペースX”が先行しました。
ワンウェブは打ち上げコストも1回あたり100億円規模だったらしく、調達した資金がどんどん枯渇していったようです。
そして、トドメを刺されたのが、「新型コロナウイルス」でした。
一部報道では、ソフトバンクから追加の20億ドル(約2200億円)の資金調達に向けた交渉をしていたようですが、ダウ平均株価も日経平均株価も混乱をきたしている中、ソフトバンクですら、株価低迷しているため話はなくなり、破産法適用の準備に入ったみたいですね。
今後は、イーロン・マスクのスペースXとAmazonのジェフ・ペゾス率いるブルー・オリジンのような資金的に問題ない会社だけが残ると言われています。
そして、やはり、宇宙ベンチャーに惜しみなく資金を投入した孫さんが気になります。
ソフトバンクにとって大きな曲がり角になるのでしょか・・・。
今後も注目です。