成長企業は“高速資金回転経営”でしか伸びない—借入を武器にするという発想
経営をしていると、「借金=悪」という思い込みに必ずぶつかります。

とくに中小企業の経営者は、借入に慎重になりすぎる傾向があるかもしれません。
ただ、僕自身これまで今の事業を伸ばしてきて強烈に実感しているのは、
本気で会社を成長させたいなら、資金を“高速で回す”しかない。
その回転を支えるのが、まさに 借入というレバレッジの武器 です。
今回のテーマ「高速資金回転経営」は、その核心をついた考え方だと思っています。
一般的な“自転車操業”とはまったく違う、攻めの経営に必要な戦略です。
■ 高速資金回転経営とは?—“借りて回す”のではなく“借りて成長させる”経営
世間でいう「自転車操業」は、赤字を埋めるために借りる“悪い回し方”を指します。
しかし成長企業がやっているのはその逆で、
▶ 成長企業の「高速資金回転経営」の定義
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黒字を維持しながら
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返済と同時に借入枠を増やし
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手元資金を厚く保ち
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投資と資金の回転を高速で回し続ける
つまり、
借入 → 投資 → 売上増 → 借入枠増 → 再投資… の高速ループ
この高速回転こそが、会社を雪だるま式に成長させる最強の仕組みだと考えます。
■ 借入が増えるほど企業は強くなるという“財務の真実”
僕も若い頃は「借金を減らす=いい経営」と思っていました。
でもこれは完全に逆でした。

◆ 借入が増える=企業が大きくなっている証拠
成長していくほど投資が必要になり、投資が大きくなるほど資金も必要になる。
だから、借入は増える。
借金は“成長のサイズ”を示す指標
トヨタが35兆円借りていても、不安視する人はいませんよね。
◆ 借入が減っている会社=成長が止まっている可能性
本来は、借り換えや設備投資で借入は増えていくもの。
借入残高が減っているということは、
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成長投資をしていない
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借りたくても借りられない(業績が落ちている)
などの“停滞サイン”であることも多いのではないでしょうか。
企業は止まった瞬間に倒れる“自転車”と同じです。
■ 借入=武器の調達。勝負は現金量で決まる
経営は綺麗事ではなく、現金を持っている者が勝つゲームだと考えます。
1,000万円だけ手元にある会社と、借入で10億円を確保している会社。
勝負になりません。
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人を雇う
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広告をかける
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システム化する
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オフィスを強化する
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プロジェクトを増やす
どれも資金力で決まります。
借入は「勝つための武器の調達」
この感覚を持てるかどうかで、会社の伸び方はまったく変わると思います。
■ 利益をあえて“最小限”に抑える理由
高速資金回転経営では、黒字を確保しつつも、利益を必要以上に残しません。
主な理由は2つ。
1. 節税と資金効率
利益を残しすぎると税金が重い。
それなら、仕組みや採用や広告など成長投資に回した方が圧倒的に効率が良い。
2. 株価を上げすぎない(事業承継対策)
利益を出しすぎると株価が跳ね上がる。
将来の事業承継に悪影響が出るため、あえて利益をコントロールするのは合理的だと考えます。
■ 高速資金回転を可能にする“3つの実務”
① 借り換えは満期まで待たない
7年・10年の借入をそのまま返済しない。
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2,000万円借りて → 1,000万円返した段階で
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3,000万円で借り換える
この時点で +2,000万円の資金を確保できる。
② 手元資金は最低6ヶ月分をキープ
キャッシュが薄い会社は攻められない。
資金回転のスピードを上げるには、土台となる“余力”が必要です。
③ 銀行には“実質利益”を正直に説明する
節税で利益が低く見えても、銀行は「本当の収益力」を理解してくれる。
金融機関はそこが仕事なので、隠さない方がむしろ信用が増しますね。
■ 高速資金回転経営が生む3つのメリット
1. 競争優位性の獲得(攻めの投資が可能)
キャッシュがある企業は、一気に市場シェアを取りに行ける。
2. 売上 → 投資 → 借入枠増 → 再投資の“成長スパイラル”が始まる
加速すればするほど伸びる。
3. 経営判断の幅が広がる(選択肢が増える)
手元資金が厚い企業は、チャレンジできる数が圧倒的に増える。
■ 結論:成長企業の本質は「資金の回転速度」にある
僕は何年も経営してきて、あらゆる企業を見てきましたが、
伸びる企業は例外なく、
資金が高速で回っている
そして停滞する企業は決まって、
資金の回し方が遅い、または止まっている
高速資金回転経営は、借入を恐れる思考から脱却し、借入を“成長の原動力”に変えるための経営思想です。
会社を本気でスケールさせたいなら、この考え方は避けて通れません。




