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「新NISA貧乏」が急増中? 投資が“目的化”する人に欠けている本質的な視点とは

新NISA貧乏の登場と「投資の本当の目的」

—数字ではなく、人生を豊かにするための投資とは

最近、「NISA貧乏」という言葉を耳にする機会が増えました。

本来は将来の安定や自由を手に入れるための投資が、いつの間にか目的化してしまい、

今の生活の質や幸福を犠牲にしている―そんな現象を指します。

私はこのテーマを考えるとき、投資の“目的”と“手段”をもう一度見直す必要があると感じています。

以下では、「NISA貧乏」が生まれた社会的背景と、投資の本質的な意義、そして豊かに生きるための考え方を整理してみました。


「NISA貧乏」が生まれる社会的背景

「NISA貧乏」とは、投資に家計の大部分を割きすぎることで、生活の余裕や心の豊かさを失う状態です。
原因は単純な「お金の使いすぎ」ではなく、社会全体の価値観の変化にあります。

1. 投資が“手段”から“目的”へ変わっている

SNSやメディアで投資が“正解”として扱われ、「やっていないと遅れている」という空気が広がっています。
その結果、本来は生活の安定を得るための「手段」である投資が、「枠を埋める」「積み立てを最大化する」こと自体が目的化してしまっています。

2. SNSの「成功ストーリー」に引きずられる

SNS上では、含み益のスクショや「爆益報告」が氾濫しています。
人は“損失”よりも“機会を逃す痛み”に敏感なため、他人の成果に焦って無理な投資を続けてしまうのです。

3. 節約が美徳化し、幸福が削られる

「今は我慢の時」として旅行や外食、趣味を一切削る。
その結果、投資口座の数字は増えても、人生の満足度が下がり、何のために頑張っているのか分からなくなるケースも少なくありません。

4. 投資リテラシーの格差

“やれば増える”という単純な構図のまま始めると、相場下落時に慌てて売却し損失を確定してしまう。
基礎的な金融リテラシー(分散・リバランス・税最適化)を欠いたまま始めると、投資が「心を消耗させる行為」になってしまいます。


「過剰投資」や「情報過多」に陥る特徴

1. 生活を犠牲にしてまで投資

・貯金ゼロでNISAフルベット
・生活費を極端に削る
・ライフイベントの資金を後回しにする

これらは一見“努力”に見えますが、実際にはリスク管理を放棄した行動です。

緊急時の支出に対応できず、投資を崩して損失を確定する悪循環に陥りやすい傾向があります。

2. SNSの情報に振り回される

・インフルエンサーの「推し銘柄」に飛びつく
・断片的な成功例を見て焦る
・根拠のないトレンドに便乗する

投資判断の軸が他人の投稿や空気に依存してしまうと、冷静な分析ができず、市場変動に耐えられない精神状態を生んでしまいます。

まあ、私も色々な方のSNSを見ているので気持ちは分かりますが・・・。


「NISA貧乏」を回避するための3つの思考法

① 人生の目的を明確にする

投資は幸福のための手段であり、ゴールではありません。
「何のためにお金を増やすのか」「どんな人生を送りたいのか」という軸を持つことで、数字に振り回されなくなります。

② 生活の安定を最優先にする

生活防衛資金(半年〜1年分の生活費)を確保することがいいと思います。
そのうえで余剰資金を投資に回す。
「将来の安心」を追い求めすぎて“今の幸福”を犠牲にしては本末転倒です。

③ リテラシーを磨き、自分で判断する力を持つ

投資は“自分との対話”です。
市場がどう動こうと、「こうなったらこう動く」という自分なりのルールを作ることで、焦らず冷静に対応できるようになります。


投資の本質とは何か

お金が増えることで得られるのは「安心」であって、「幸福」そのものではありません。

投資の本質は、人生の選択肢を広げる自由を手に入れることだと考えます。

真のリターンとは「選択の自由」

  • 嫌な仕事を断れる自由

  • 大切な人と過ごす時間を守る自由

  • 自分のペースで働ける自由

これこそが、投資がもたらす“本当のリターン”だと思っています。

資産の増減に一喜一憂するのではなく、「自由を得るための道具」として投資を捉えることで、精神的にも安定した資産形成が可能になります。


まとめ:豊かさとは「お金を増やすこと」ではなく「自分を満たすこと」

投資は、お金を増やすための戦いではなく、人生をデザインするためのツールです。

数字に支配されるのではなく、自分の価値観を軸に、「今」と「未来」のバランスを取ることが大事です。

その中で初めて、真の意味で“豊か”な生き方が実現すると思います。

著者プロフィール

Lidix

ライディックス株式会社 代表 山上 晶則

東京都で不動産会社を経営しています。
将来的に不動産経済がどうなるかは、あくまでも二次的な要因が大きいため、「国内外の政治経済や金融」、「異業種で成功している事例」などを分析することを得意としています。

このブログでは、現在の経済状況を自分なりに読み解き、時代に合った経営や様々な投資、そして、「何かに依存しない生き方」を求めて日々勉強している内容をアウトプットするために書いています。



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