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インフレ・金利・地政学は要警戒?2025年相場のリスクシナリオと備え方

2025年の世界経済は、過去の金融危機とよく似た構造が見え始めていると言われています。

一部の専門家の間では、「歴史的な暴落前と同じ兆候が出ているのではないか」と指摘する声もあります。

もちろん断定はできませんが、世界的な不安定要因が複合的に重なっていることは確かです。


■ 歴史的な4つの危機パターンが再び見え始めている

過去の大暴落には、共通して現れる「4つのパターン」があったとされています。

現在の状況もそれらと似通った動きを見せており、注意が必要かもしれません。

1. ありえない価格形成(バブルの兆し)

AI・半導体関連株を中心に、企業の実力を超えた株価上昇が続いています。

P/E(株価収益率)やP/B(株価純資産倍率)といった指標を見ると、過去のバブル期に近い水準に達しているものもあるようです。

この高値が「期待」だけに支えられているとすれば、金利上昇やインフレ再燃をきっかけに調整局面を迎える可能性もあります。

2. ペーパーアセットの膨張

株式や債券、仮想通貨といった「紙上の資産」は、実体経済の成長を上回るスピードで拡大しています。

各国が金融緩和を続けたことで、過剰なマネーが市場に滞留し、実体と乖離した資産価格が形成されつつあるように見えます。

もしインフレや金利上昇が進めば、過剰債務を抱える企業や政府が連鎖的に信用不安に陥る懸念もあります。

3. 過剰なレバレッジと集中リスク

長期にわたる低金利の中で、借入をもとに投資を行う“レバレッジ取引”が増えています。

特に私がなりわいとしている不動産、そしてAI、再エネなど特定分野への資金集中が目立ち、バランスを欠いた投資構造が進行しているようです。

もし金利が上昇すれば、返済負担が増大し、リスク解消の動きが一気に進む可能性があります。

4. マクロ経済ショックの同時発生

金利上昇、原油高、地政学リスク、通貨不安、財政悪化——。

これらが同時に起きると、世界経済が連鎖的に揺らぐことがあります。

1970年代のオイルショックや2008年のリーマン・ショックと似た「複合ショック」的なリスクが再び高まりつつあるとも言われます。


■ 新たに加わる「構造的4要素」にも注意

2025年の世界は、上記の歴史的パターンに加え、以下の構造的リスクも同時進行していると見られています。

1. エネルギー価格の不安定化

中東情勢や脱炭素政策の影響で、原油やガス価格が不安定化しています。

これが企業の生産コストを押し上げ、コストプッシュ型インフレを引き起こす要因になっているようです。

2. 地政学リスクの拡大

米中対立や台湾海峡の緊張、ウクライナの長期化など、地政学的な不確実性が高まっています。

サプライチェーン分断によって、半導体やエネルギー関連のコスト上昇も懸念されています。

3. 金利上昇リスク

インフレ抑制を目的に政策金利を上げた結果、企業や政府の借入負担が急増。

金利上昇が株式や不動産市場の冷え込みを招き、資産価格の調整につながる可能性もあります。

4. インフレの再加速

一時落ち着いたインフレ率が再び上昇傾向を示しています。

生活コストの上昇が家計を圧迫し、消費減退や景気後退を招く懸念があります。

特に、金利上昇とインフレが同時進行すれば、中央銀行の政策余地が狭まるというリスクも指摘されています。


■ 富を守り、次の局面に備えるための5つの考え方

不確実な時代こそ、「備え」が差を生みます。

過去の危機で資産を守った人々に共通していた5つの行動原理を挙げてみます。

1. 現金を戦略的に保有する

危機時には流動性が枯渇しやすく、現金を持つ者が優位に立ちます。
安くなった優良資産を冷静に買える準備をしておくことが重要です。

2. 市場の歪みを見逃さない

危機の際には、通常では出ないような“投げ売り”案件が出ることがあります。
感情ではなく数字で判断する冷静さが求められます。

3. 実物資産の比率を高める

金融緩和局面では通貨価値が下がり、実物資産(不動産・金・貴金属など)の価値が相対的に上昇する傾向があります。

4. 通貨の動きを読む

円安などの通貨変動期には、海外資本が日本市場に流入することがあります。
その波に先回りできれば、大きなチャンスにつながる可能性があります。

5. 危機後の回復局面を見据える

過去の金融危機はいずれも、最終的には金融緩和で収束してきました。
そのとき、恐怖の中で動いた人ほど回復局面で報われる傾向がありました。


■ 終わりに:複合リスク時代をどう生き抜くか

2025年は、政治・金融・エネルギー・インフレといった複数の要素が同時に揺らぐ「複合危機時代」となる可能性があります。
ただし、それは「崩壊」ではなく、「新しい再配分の始まり」でもあると考えます。

不確実な時代ほど、

  • 現金の流動性を確保し、

  • 実物資産を適度に保有し、

  • チャンスが来たときに即動ける体制を整える。

このような冷静な構えが、次の繁栄期を迎えるための一つの“戦略”になるかもしれません。

著者プロフィール

Lidix

ライディックス株式会社 代表 山上 晶則

東京都で不動産会社を経営しています。
将来的に不動産経済がどうなるかは、あくまでも二次的な要因が大きいため、「国内外の政治経済や金融」、「異業種で成功している事例」などを分析することを得意としています。

このブログでは、現在の経済状況を自分なりに読み解き、時代に合った経営や様々な投資、そして、「何かに依存しない生き方」を求めて日々勉強している内容をアウトプットするために書いています。



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