ビジネスと不動産経済を本気で考えるブログ

【現場実感】東京の不動産は“異常値”に。インフレが家計と市場を同時に壊し始めている

いつもブログを読んでいただきありがとうございます。

毎日、不動産の現場で「数字」と「人の生活」を見ていますが、

ここ最近、あらゆる面で「インフレの深刻化」を肌で感じています。


■ インフレの波が不動産市場を変えてしまった

今年に入ってから、特に東京23区のマンション価格は“異常”と呼べる水準に達しています。

数字を並べると実感がわかりやすいです。

  • 首都圏の新築マンション平均価格:8,958万円

  • 東京23区に限ると:1億3,064万円(史上最高値)

  • 2005年の平均:4,920万円 → わずか20年で約3倍

この数字を見て「手が届かない」と感じる方は正しいです。

私たち業者側から見ても、「もはや一般の給与層では買えない」価格帯になっています。


■ 建築コストが跳ね上がり、供給も鈍る

現場では、建設費が上がり続けています。鉄骨・コンクリートなどの資材費はもちろん、職人さんの人件費も上昇。

最近は「工期が組めない」「人が確保できない」という声をよく聞きます。

これにより、建売やマンションの供給コストは確実に上がり、販売価格に転嫁せざるを得ない。

つまり、価格が下がる余地がほとんどない構造です。


■ 円安と外国人投資マネーが市場をさらに押し上げている

もう一つの要因が「円安」です。

ドルベースで見れば、日本の不動産は“バーゲンセール状態”。

香港やシンガポールの投資家が、現金で港区や渋谷区の物件を買い上げていきます。

都心のブランドマンションは今や海外資金の投資対象です。

その影響で、23区内に住みたい日本人ファミリーが神奈川・千葉・埼玉に流れ、その波が周辺地域の相場をも押し上げている。

まさに「不動産のトリクルダウン現象」です。


■ 家計が耐えられない「家賃地獄」

問題はここからです。

インフレによって“持てる人”と“持たない人”の格差が急拡大しています。

東京23区のファミリー向け賃料は平均24万7,000円

23区外は13万円台

つまり、家賃が2倍

20代・30代の平均所得でこの水準を支払えば、家計は間違いなく赤字です。

「手取りの3割以内が理想」と言われる家賃比率は、今の東京ではもはや幻想になりました。

都心での生活が“ステータス”ではなく“リスク”になりつつあります。


■ 現金主義はもう通用しない

長年デフレに慣れきった日本人の多くは、「現金を持っていれば安心」と信じてきました。

でも今は、その考えが最も危険です。

インフレ率が3%、銀行の預金金利が0.001%。

つまり、何もしていなくても資産が毎年3%ずつ減っているということです。

この意味を分かりやすく説明すると・・・

たとえば、あなたが100万円を銀行に預けているとします。
銀行の預金金利は 0.001% です。
つまり、1年後に受け取れる利息は…

100万円 × 0.001% = 10円

です。たった10円しか増えません。


一方で、インフレ率が 3% というのは、

「モノやサービスの値段が毎年3%ずつ上がっている」という意味です。

つまり、1年前に100万円で買えたものが、

来年は 103万円 しないと買えなくなるということです。


📉 つまりどうなるか?

  • あなたの銀行預金:100万+10円=100万10円

  • でも同じものを買うのに必要なお金:103万円

→ 差し引き 約3万円分の価値が減った ことになります。


💬 一言でまとめると

「預金していても利息はほぼゼロ。
でも物価は3%上がるから、実質的にお金の価値は毎年3%ずつ減っている。」

数字は減っていなくても、価値が目減りしている。ということになります。


■ 今、経営者として強く感じること

現金を寝かせているだけでは、

会社の資産も、個人の資産もジワジワと侵食されます。

インフレ下では、「守り」が「減る」に変わるのです。←これ大事です!

だから私は今、法人も個人も「資産を仕組みで守る」ことを最優先にしています。

● 高資産層なら:

土地付き一棟、実物不動産。時間を味方につけられる現物資産が、インフレ時代の“防衛盾”になります。

● 一般層なら:

投資信託・インデックス・金(ゴールド)・海外分散。小さくても“持つ仕組み”を作ること。

積立NISAなどを使い、放っておいても増える構造を早く作ることです。


■ 「守るために動く」時代

これからの日本では、

「守る=動く」ことです。

現金を持ち続けることがリスクであり、投資や分散を始めることが防衛になります。

デフレの時代の常識にしがみつくと、静かに貧しくなります。

インフレの時代は、攻めて守る

それが生き残るための唯一の戦略と考えます。

著者プロフィール

Lidix

ライディックス株式会社 代表 山上 晶則

東京都で不動産会社を経営しています。
将来的に不動産経済がどうなるかは、あくまでも二次的な要因が大きいため、「国内外の政治経済や金融」、「異業種で成功している事例」などを分析することを得意としています。

このブログでは、現在の経済状況を自分なりに読み解き、時代に合った経営や様々な投資、そして、「何かに依存しない生き方」を求めて日々勉強している内容をアウトプットするために書いています。



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