初めて収益物件を手に入れ、念願の「大家デビュー」を果たしたものの、2棟目、3棟目となかなか買い進められない…。多くの不動産投資家がこの「最初の壁」にぶつかると言われています。
なぜ規模を拡大できなくなるのでしょうか?その主な理由は以下の3つと考えます。
- 自己資金の枯渇現在の融資環境では、物件価格の1〜2割程度の頭金が求められることが一般的です。1棟目に多くの自己資金を投入すると、次の物件に回す資金がなくなってしまいます。
- 与信枠の使い切り個人の属性(年収、勤続年数など)に基づく融資枠には限りがあります。1棟目でその上限近くまで借りてしまうと、それ以上の借り入れが難しくなります。
- ノンバンクの利用過多借りやすいノンバンクを使いすぎると、その後の地銀や信金から「すでに借りすぎている」と判断され、審査に通らないケースがあります。
継続的に物件を買うための3つの戦略
では、この壁を乗り越えるためにはどうすれば良いのでしょうか?ベテラン大家さんたちが口を揃える、継続的に物件を買うための3つのポイントをご紹介します。
- 自己資金を貯め、属性を高める当たり前のように聞こえますが、これが王道です。本業での収入アップや副業、節約など、地道な努力が不可欠です。また、融資の信用力を高めるため、勤務先でのキャリアアップも有効な戦略となります。
- 1棟目から「戦略的」に考える「とにかく物件を増やす」ことを目的にしないことが大切です。まずは自分が目指すキャッシュフロー(手残り)を明確にし、そこから逆算して、購入すべき物件の規模や数を考えましょう。複数の情報源から学び、自分に合った戦略を見つけることも重要です。
- 売却も視野に入れるすべての物件を永久に保有するのではなく、利益率の低い物件は売却して資金と与信枠を確保する、というポートフォリオの入れ替えも有効な戦略です。
「2棟目が買えない」と悩む大家さんへ!今すぐできる3つのリカバリー策
すでに1棟目や2棟目を購入済みで、次の物件が買えずに悩んでいる方もいるかもしれません。そんな方のために、現状を打破するためのリカバリー策を3つご紹介します。
- 経営者として、物件の財務状況を把握する税理士に任せきりにせず、自分自身が経営者として、物件ごとの収支を正確に把握することが重要です。赤字物件や利益率の低い物件があれば、売却して負債を減らし、身軽になることで、次の融資を受けやすくなります。
- 金融機関との信頼関係を築く自分の財務状況をきちんと理解し、それを自分の言葉で説明できるようにしましょう。「この人は優秀な経営者だ」と信頼されることで、融資の相談がスムーズに進みます。また、特定の金融機関に依存せず、複数の銀行と取引することもリスク分散につながります。
- 短期的な拡大を目指さないかつてのように、短期間で次々と物件を買える時代ではありません。焦って無理な借り入れを重ねるのではなく、まずは1棟目の返済実績を着実に積み重ねることが、結果的に次の物件購入への近道となります。返済が進めば担保力がつき、次の融資も引き出しやすくなります。
不動産投資は、単に物件を増やすことだけが成功ではありません。自身の目標に合わせ、堅実な経営を続けることが、長く生き残るための秘訣と言えるでしょう。